皆さんは、日本の木材生産量が増えていることをご存知ですか?
林業は「海外からの安い輸入材との価格競争で衰退している」というイメージもあるかもしれませんが、実は近年、国産材を様々な形で活用する動きが活発になっています。
国内で生産された木材がどのように使われているのか、日本の豊かな森林資源を利活用する最新の動向を取り上げます。
木材の生産は増加傾向
日本では昔から、豊かな森林資源を背景に、木材を暮らしのさまざまな場面で活用してきました。
生活に身近な道具類だけでなく、住宅などの建築にも多く用いられています。現在も年間で新築着工される住宅の6割が木造で、ライフスタイルが変化しても、木とともにある暮らしは人々の意識に深く根ざしていることが分かります。
2020年に国内で生産された木材の量は、全ての用途を合わせて約3,115万㎥でした。2010年から、11年連続で増加しています。
海外からの輸入量は約4,329万㎥で、国内生産量を大きく上回っていますが、それでも木材自給率は41.8%と、こちらも10年連続の上昇となりました(過去最低は2002年の14.8%)。
背景には、2000年代から国の政策として国産材利用を推進する体制が作られ、住宅だけでなく公共施設など、幅広い建築物に国産材を使いやすくなったことが挙げられます。
海外との価格競争も念頭に、大規模で効率的な加工体制づくりも推進されました。
海外への輸出も増
日本の木材は、国内向けだけでなく、海外にも輸出されています。2020年に輸出された丸太は1,384万㎥で、輸出額は約357億円でした。
輸出量、輸出額とも増加傾向で、輸出額は過去20年で最高の水準です。
中国や韓国など東アジア諸国のほか、米国やフィリピンなどで日本の木材が活用されています。
多くは住宅などに活用され、このうち韓国では内装材として日本のヒノキが人気だといいます。
日本政府は国産材の輸出を後押しするため、日本式の木造建築を海外で普及させる取り組みや、国産材のブランド化の推進などに力を入れています。
東北地方では秋田県が、木材需要の高まっている米国向けの輸出拡大を目指すなど、地域単位で新たな国際市場の開拓を図る動きも出てきました。
存在感を高める「燃料」としての利用
統計上、木材の生産量が増加している大きな要因は、木材を「燃料」として活用する動きが盛んになっていることです。
従来は、建築資材等の「用材」として利用されることが多かった国産材ですが、近年は「木質バイオマス発電」の燃料としての需要が高まっています。
木質バイオマス発電は、主に建築資材には適さない形状・品質の木材をチップ等に加工し燃焼し、発生する水蒸気でタービンを回して行う発電です。
森林管理や製材工程で発生する木材を有効に活用する手段の一つとされ、二酸化炭素の排出量と吸収量を均衡させる「カーボンニュートラル」の観点からも注目されています。
発電事業者から電力会社が一定価格で電力を買取る固定価格買取制度(FIT)のもと、東北地方でも普及が進みつつあります。
2020年は住宅建築等の需要が落ち込んだことから、建築用の木材の生産量も減少しましたが、燃料材としての需要が伸びたことで、全体の生産量も増加しました。
燃料材は、国産材の使いみちとしての存在感を年々大きくしています。一方、燃料材となるのは一般に品質の低い木材が中心です。燃料材としての需要に頼りすぎることなく、建築用材としての品質を担保する木材生産も引き続き求められています。
資源量の把握にドローンが活躍
質の高い建築用材として、また再生可能エネルギーの一翼を担う燃料材として、さらなる活用が期待される国内の森林資源ですが、実際には造林から長い年月が経過したことで、山の現況を正確に把握することが難しい場合もあります。
資源量を把握し、適切な森林の管理に貢献するのが、ドローンによる調査です。
上空からレーザーを照射し、木々の直径や高さなどを測定することで、効率的に資源量を推定することができます。
林業に関連する分野では他にも苗木の運搬や鳥獣害対策でもドローンの活用が各地で進んでおり、東北地方でもさらなる普及が期待されています。
私たちチックは、宮城県仙台市でドローンスクールの運営やドローンの販売を行っている会社です。東北地方を中心に、さまざまなフィールドでのドローンの活用をお手伝いしています。
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